後期臨床研修を考えている皆さんへ

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鹿児島民医連 医師研修委員長

中野 治

宮崎医科大卒(1996年入職)

本当の専門、本当の総合の力を
地域の中で身につける

多くの皆さんが、専門医資格を後期研修で取得する時代となりました。研修と資格とがリンクし、研修のモチベーションにはなりますが、卒後7年目で専門医資格を得られても、それだけでは求められる真の力を身につけたとは言えないと思います。

私たち鹿児島民医連の医師は、鹿児島、国分、奄美などの病院・診療所で、救急から入院、外来、在宅などの幅広い場面での診療を行いながら、医師研修を行ってきました。市中で発生する8割の患者さんのニーズをカバーする診療には、プライマリケアの知識、技術など総合的能力が常に求められます。その上に、重症感染症、集中治療、急性期疾患、癌、慢性疾患、難病などに対応できる専門的能力が求められます。専門技術には、規模により限界がありますが、知識は世界標準の専門性が求められます。地域の中で診療し、患者さんに相対する中でしか見えないこれらのニーズが、私たちに本当の専門、本当の総合の力を身につけさせるモチベーションとなります。

鹿児島生協病院の後期専門研修の特徴

離島診療所の医療活動を独力で担える基本的臨床能力を身につける

必ずしも皆が、離島診療所に行くわけではありませんが、そのくらいの「総合力を身につける」ということです。実際の離島診療所では管理運営や経営など管理者としての視点も養うことができます。しかし、中には、総合研修は飛ばして、すぐに専門研修を希望する場合もあるでしょう。それでも、専門科研修をするなかで、総合力を身につけられるようなプログラムを準備しています。

研修目標(各科共通の総合的分野概要)

総合的問題解決能力を身につける

  • 病棟・外来において、的確な判断と治療を独力で行うことができる。
  • 労働と生活の視点で患者の問題点をとらえ、その解決に有用な社会資源(介護保険、身障、生活保護、特定疾患、労災など)を活用できる。
  • 地域の医療機関、福祉関係機関と連携できる。在宅医療や慢性疾患の継続的管理ができる。
  • 地域の医療機関、福祉関係機関と連携できる。
  • 医療生協の組合員活動、健康増進運動などを通して、保健予防活動の意義をつかみ、啓蒙活動ができる。
  • 健診参加を通して働く人々の健康問題をつかみ、意義を理解する。

チーム医療、民主的集団医療を実践するために

  • 院内外の他職種とのカンファレンスを運営し、治療方針を立て、共同の力で問題を解決できる。
  • 病棟や医局の運営に際して、その集団の一員として意見を述べたり運営に協力したりすることができる。
  • 各種委員会において、運営の中心的役割を担える。
  • 医療生協の組織活動を理解し、意見を述べ、実践できる。
  • 共同の営みとしての医療ついて述べることができ、実践に向けて努力する。

社会的問題を見出し、解決するために

  • 患者の背景にある社会的問題を把握できる。
  • 地域の医療要求を理解でき、その実現のために地域住民、医療機関、福祉機関、自治体に働きかける。
  • 医療情勢、社会情勢について学習し、他者にわかりやすく説明できる。