医療・看護・介護

介護事業所減収分に対する財政支援の一部を利用者負担としないことを求める陳情書を提出

県内164の介護事業所の賛同署名とともに陳情を行いました

9月10日(木)鹿児島県議会へ「新型コロナウイルス感染拡大に伴う介護事業所の介護報酬上乗せ分について利用者負担としないよう国に求める陳情書」を、県内164事業所から寄せられた賛同署名とともに県議会へ提出し、記者会見を行いました。

厚労省の特例措置には大きな問題と矛盾があります

今年6月に厚生労働省は、感染防止に取り組む介護事業者に対して、利用者の同意を得ることを条件に、通所系と短期入所系の両サービスを対象として利用時間に上乗せした介護報酬の請求を認める特例措置を講じました。

しかし、この特例措置では利用者の負担増につながり、同意の有無で利用者の負担額に不公平が生じるなど問題があります。

今回の陳情では、この特例措置の見直しと介護事業所へのさらなる財政支援を求めています。

現場で働くスタッフがこの特例措置の問題点と改善を訴えました

阿久根平主任介護支援専門員(生協ケアプランセンター)と岩切陽一県民医連事務局長が南日本新聞社の取材に応じ、「現時点で、複数の介護サービスを利用していて金銭的にギリギリでやりくりしている方もいる。介護事業所への財政支援を介護報酬に上乗せすることで、利用しているサービスを削ったりするなど利用控えにつながりかねない」と介護事業所への財政支援を利用者負担としない方法に改めるよう訴えました。

陳情の趣旨は以下の通りです

【陳情の趣旨】

新型コロナウイルス感染症の拡大による利用者の減少、感染対策経費の増加によって、多くの介護施設・介護サービス事業所の経営は深刻な事態に陥っている。この状況が継続すれば、必要な介護サービスを提供する体制が崩壊する事態につながりかねない。

こうした中、厚生労働省から6月1日付で、通所系サービスと短期入所系サービスについて、通常とは異なる介護報酬を算定することを可能とする特例が出されました(「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱い(第12報)」)。

この第12報は、利用者から事前同意を得ることとその他一定の条件のもと、通所系サービスでは2区分上位の基本サービス費の算定が認められ(上乗せ)、短期入所系サービスでは緊急短期入所受入加算の算定が認められたものですが、以下の問題点を含むものとなっている。

第一に、介護サービス事業所から利用者に対して、通常とは異なる介護報酬を請求し利用料を負担してもらう明確な根拠を示すことができない。

第二に、利用者の同意が前提であるため、同意を得られた利用者と得られない利用者とで不公平が生じる可能性がある。

第三に、利用者への説明のための書類作成や同意を得る作業をめぐり、介護サービス事業所や給付管理を担うケアマネジャーに新たな業務負担が発生する。

第四に、利用者がすでに区分支給限度額ぎりぎりのサービス提供を受けている場合に、本報の適用により限度額を超えた部分は利用者の10割負担となるため、経済的負担を増やしサービス利用の制限につながりかねない。

第五に、本報による利用料の増加が次期(第8期)介護保険料に反映される可能性があり、県民の負担をさらに増やしかねない

ついては、コロナ禍の中で困難を抱える利用者を救い、奮闘する介護サービス事業所の経営危機を救うために、鹿児島県から国に対して第12報適用による利用者負担を見直し、国による介護サービス事業所への財政支援をさらに手厚くすることを求める意見書提出をしていただきたく、県内多くの事業所から集まった賛同団体署名を添えて、下記事項を陳情致します。

国に対して下記の内容の意見書提出を行って下さい。

1.厚労省6月1日付通知「介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取り扱い(第12報)」 における利用者負担を見直していただくこと。

2.介護サービスを守り、事業の継続維持のための財政支援をさらに手厚くしていただくこと。

 

今回の陳情書提出について

今回の陳情提出にあたっては、県内164の事業所から別紙の切実な意見や声が寄せられました。

事前に県議会の各会派を回り議員へ説明する場も持つことができました。

9月県議会(9/14~10/7)で、担当委員会や本会議で審査採決されることとなります。